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「世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント 第4版」(G・マイケル・キャンベル著)

今回紹介するのは、「 世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント 第4版 」です。 本書は「IDIOT'S GUIDE」シリーズの中の一冊になります。 英語の最新版は2014年刊行の第6版「 Project Management, Sixth Edition (Idiot's Guides)  」のようです。   本書では、プロジェクトマネジメントにかかわる基礎的な手法や用語が細かく解説されています。たとえば、 PDCAサイクル ガント・チャート (gantt chart) クリティカル・パス (critical path) WBS (Work Breakdown Structure) 振り返り スコープ・クリープ (scope creep) などです。本書は邦訳された書籍なので、日本語のプロジェクトマネジメント用語が英語ではどういうものになるのかも参考になると思います。 個人的には解説の途中途中で、数行さしこまれている「ときは金なり」「現場の声」「ご用心」「賢者の言葉」の項が読んでいて、面白かったです。 本書は、教科書的な書き方で書かれているので、面白みはないですが、プロジェクトマネジメントで発生する作業について網羅的に書かれているので、プロジェクトマネジメントに初めて取り組む人にとっては、よいスタート地点になると思います。より実践的なものを求める方は、「 アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 」の方がお勧めです。

「ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー」 (マイケル・ワトキンス 著)

今日紹介する本は「 ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー 」です。 こちらの書籍は、新しいポジションに移ったリーダーがいかにして成果を出すかということに徹底的に重点を置いて書かれています。 原題は「 The First 90 Days: Proven Strategies For Getting Up to Speed Faster and Smarter 」です。直訳すると「最初の90日: より速く賢く成果を出すための確実な方法」とにでもなるでしょうか。   どうしても人間は自分の今までの成功体験の延長で、次の新しいポジションの仕事に臨むことが多いですが、本書では新しいポジションに移行する前に、 自分の強みと弱みの評価 新しいポジションへの移行のリスク評価 新しい上司や部下との関係 新しい組織での文化の分析 など、を綿密に準備しておく必要があると述べています。そしてその準備を90日間でやり遂げる必要があると述べています。 私は本書で述べられているSTARSモデル (Start-up: 立ち上げ、Turnaround: 建て直し、Accelerated growth、Realignment: 軌道修正、Sustaining success: 成功の持続)については、無理やりSTARSというごろのいい名前をつけるとために分類した感があって、いまいち役に立つ気がしませんでした(失礼!)が、本書に書かれている内容自体は、どれも納得のいくものが非常に多かったです。組織内での自分の振る舞いの仕方について不安に感じたときに、折に触れて、本書を読み直しています。 私も実際、新しい職場に入ったときに、周囲から「こいつは何ができるんだ?」みたいな目で見られ、不安になったことをよく覚えています。 私自身も、本書で言及されているとおり、小さな成果をコツコツ積み重ねていくにつれ、「周囲からも信頼され始めているな」という実感を持って落ち着いて仕事に取り組むことができるようになり、さらに大きな成果を出せるようになるという、好循環を経験したことがあります。 本書で、特に私自身ができていないと思った部分は「上司」との関連性の部分です。 本書では様々な視点から、成果を上げるために、上司とどのようなコミュニケーションのとり方をす

「権力」を握る人の法則 (ジェフリー・フェファー 著)

今日、紹介する書籍はジェフリー・フェファーの『 「権力」を握る人の法則 』です。 原題は「 Power: Why Some People Have It—and Others Don't  」です。 直訳すると「権力: なぜ持てる人と持てない人がいるのか」でしょうか。 邦訳版の題名が日本語としても本質を掴んでいて、直訳よりもいい題名だと思います。 結論からいいますと、この本はお勧めです! もともと2011年にハードカバーで出版されたものが、2014年に文庫化されました。 文庫版は、お求め安く1000円もしないので手軽に購入できると思います。 他のフェファーの書籍は文庫化されていませんので、フェファーの書籍を読みたい方はこの『 「権力」を握る人の法則 』から読み始められるのがいいと思います。 私もこの書籍を読んで始めてフェファーの他の著作を読むようになりました。 確かに私が今まで所属した組織で上層部にいる人を眺めると、この書籍に書かれているとおりのことを実行している人ばかりなので、本書の内容を実践すれば、間違いなく組織内での闘争には負けないと思います。たとえば、 出る杭になれ 愛されるより恐れられよ 実績と昇進は関係ない! 上司を気分よくさせる 権力者らしい話かた(を心がけよ) 悪評にも利点がある などなどです。詳しい話は本書を読んでもらうのが一番です。 とはいえ、何が一番難しいかというと、やはり本書に書かれていることを実践することなのですが。 なぜここまでして権力を握るべきなのかという理由について、フェファーは、疫学研究者のマイケル・マーモットの研究結果を持ち出して、次のように述べています。 ヒエラルキーの底辺にいる人は、頂点にいる人と比べ、死亡率が四倍も高いことが判明している。 ... 自分の状況を自分でどうにかできる方が心身の健康によいのであり、「社会的環境から成人の死亡率を予測することは可能だ」とマーモットは結論づけている。 (335ページ) 私も、本書を読むまでは「上に行こうとしてあくせくするのはみっともない」とずっと思っていましたが、本書を読んでからは、その考えがいかに「現実から目を背けた、組織内での自らの可能性をつぶす考え」だったと痛感させられました。 実践するかどうかは

「チームが機能するとはどういうことか―「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」(エイミー・C・エドモンドソン著)

今日紹介する書籍は、「 チームが機能するとはどういうことか―「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ 」です。 本書はタイトルどおり、チーミングでも特に「学習」という部分に特に重点を置いて書かれています。 原著は「 Teaming: How Organizations Learn, Innovate, and Compete in the Knowledge Economy 」になります。直訳すると「チーミング: 知識経済の中で、いかにして組織は学習し、イノベーティブになり、競争するか」にでもなるでしょうか。 この書籍については直訳より、邦訳版の題名の方が断然よいと思います。私が本書の内容を読んだ限りでも、邦訳版の題名は、本書の内容をよく表していると思います。 予断ですが、Innovationの訳は日本語では、カタカナ英語のイノベーションが一般的になっているとは思いますが、何かもっとピッタリ来る日本語はないのでしょうか。 本書はリーダーがトップダウンの決定を下すのではなく、チームメンバーそれぞれが自身の専門性や得意分野を生かし、意見の対立を乗り越えて、チーム全体で学習しながらチーム全体のパフォーマンスを上げるためには、どうすればよいかについて実例を交えながら詳細に述べられています。 こういったチーミングやマネジメントの話は、掘り下げていくと、人間の内面に深く根ざした部分にたどり着き心理学の研究結果が大いに役に立つものですが、本書もその例に漏れず、心理学分野の研究結果も交えなながら、効果的なチーミング手法について解説がなされています。例えば、人間は今まで自分が経験してきたものによって、現在の状況の認識が左右されているという観点(=フレーミング)から、革新的なプロジェクトを成功させるためには、どのような「フレーミング」が適切かを解き明かし、またリーダーはどのようにしてチームに適切なフレームを導入することができるかについて解説しています。 多くの書籍で「失敗」から学ぶことの重要性について語られていますが、本書では「失敗」を罰せられない環境づくりがなければ、「失敗」から学ぶことは難しいと指摘しています。本書では、失敗を「防ぐことのできる失敗」「複雑な失敗」「知的な失敗」に分類し、「防ぐことのできる失敗」は根本原因の究明を行い、「複雑な

「よい戦略 悪い戦略」 (リチャード・P・ルメルト著)

今日紹介させていただくのは、リチャード・P・ルメルトの「 良い戦略、悪い戦略 」です。 私は本書を読んで、リチャード・P・ルメルトの他の書籍を読んでみたいと思ったのですが、どうも2017年現在ではこの一冊ぐらいしか一般向けの書籍はないようです。残念。 定番の原著の紹介ですが、原著の題名は「 Good Strategy / Bad Strategy: The Difference and Why It Matters 」です。この書籍については邦訳版の題名は、ほぼ直訳になっています。 副題もつけて訳せば「よい戦略、悪い戦略: その違いとなぜその違いが大事なのか」になるでしょうか。 私は、著者の意見に共感する部分が多く、時間を置いては読み直して、読み直すたびに著者の「よい戦略」の立て方を頭の中に入れなおし、「悪い戦略」に自分が陥っていないか確認しています。本書では、まず「よい戦略」の実例を挙げ、その後「悪い戦略」を徹底的に(!)こき下ろしてその特徴を解き明かし、それ以降は「閾値効果」「テコ入れ効果」「おもしろみのある競争優位」など数多のキーワードを使って筆者独自の視点で「よい戦略」の特徴を丁寧に説明しています。 本書は共感する部分が多く、全部紹介したくなってしまうのですが、「よい戦略」については、是非本書を読んでもらうとして、特に私が強く共感した戦略とリソースの部分を紹介します。筆者は戦略とリソースの関係をこう述べています。 後世に賞賛され研究されるような優れた戦略は、乏しいリソースから始まっている。 ... その希少なリソースを巧みにコーディネートするところに戦略の妙味がある。 ... あまりに有利な地位を占め、さしたる努力もなしに利益があがるようになると、ぬくぬくとぬるま湯につかって楽をしたくなるのが人情である。 成功は怠惰とうぬぼれを招き、ひいては衰退や低迷につながる。 (184~185ページから抜粋) 私もかなり限られたリソース環境でプロジェクトを運営したのですが、本書で述べられている通り、その方が「本当に必要なものだけを実施しよう」「いかにして自らの強みを生かそうか」と必死に考えるようになり、結果的によい戦略かどうかは分かりませんが、非常に意味のあるとがった戦略を立てることができたと思っています。 このリソース

「なぜ危機に気づけなかったのか 組織を救うリーダーの問題発見力」 (マイケル・A・ロベルト著)

今日、紹介する書籍はマイケル・A・ロベルトの「 なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力 」です。 マイケル・A・ロベルトの書籍としては、「 決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (ウォートン経営戦略シリーズ)  」の方が有名かも知れませんが、今日紹介する書籍も負けず劣らずよい本です。 原著の題名は「 Know What You Don't Know: How Great Leaders Prevent Problems Before They Happen 」です。直訳すると「知らないことを知る: いかにして偉大なリーダーは問題が起こる前にそれを防ぐのか」になると思います。直訳でもそんなに悪い題名のような気もしませんし、なぜ原著の題名とそこまで変える必要があるのか、私には正直よく分かりません。表紙の画像も氷山の写っている英語版の方が好きです(汗)。 本書では、題名どおり危機や問題が実際に起こる前にいかにして防ぐのかについて、詳細に述べられています。特にリーダーの立場にたつ人が、どのように振舞えば、危機の兆候をうまく捕らえやすくなるかについて、人間の心理学的見地も踏まえ、丁寧に解説されています。 本書では、組織の上に行けば行くほど、情報の「フィルタリング」が強まり現場の声が聞こえなくなり、危機の兆候を見逃す可能性があると指摘しています。情報がリーダーのもとに届かないのは、リーダーだけの問題だけはなく、周囲にいる部下が良かれと思って、情報にフィルタリングをかけてリーダーに伝えてしまうということも原因であると指摘しています。本書ではそのようなフィルタリングをする役割を演じてしまっている人を「ゲートキーパー」と呼んでいます。このようなフィルタリングを防ぐために常に最前線で働いている現場の人や、自社の製品を使っている顧客の意見・苦情を「自分の耳で聞く」ことが大事だと述べられています。 危機を見つけるのが難しい理由は、その兆候が見過ごされやすく、関連性が全く見えないことにあります。そのため、筆者らはリーダーは「人類学者になり」何が起きているかを上手に観察し、「パターンを探し」、一見つながりが見えない「点を結びつける」能力が必要だと述べています。特に「点を結びつける」の部分では、9・11のアメリカ同時多

「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法―」(スコット・バークン著)

今日紹介する本は「 アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法― 」です。 本書は、著者スコット・バークン(Scott Berkun)が、マイクロソフトに長年プロジェクトマネージャーとして勤務し経験してきたことを、一般化してまとめたものになります。 著者の実体験をふんだんに取り入れて書かれていますので、実感がこもっているところがよいろ思います。 クリティカル分析の仕方やガントチャートの組み方といったプロジェクトマネジメントの技術的手法そのものではなく、プロジェクトマネージャーの心構え、コミュニケーションのとり方、よいアイデアの生み出し方といった、より実践的なスキルについて書かれた本になります。 原著の題名は日本語のカタカナ英訳と同一で「 The Art Of Project Management (Theory in Practice (O'Reilly)) 」です。邦訳の題名には著者の経歴を踏まえて「Microsoft」を入れたのだと思います。  原著の方は新版が発行されていました。ぜひ機会があれば読んでみたいと思います。 「 Making Things Happen: Mastering Project Management (Theory in Practice (O'Reilly)) 」   本書は、優先順位付けの大切さ、ものごとを成し遂げるためには「ノー」といえるようにならなければならない、社内政治から逃げてはいけない、など、私に初めてプロジェクトマネジメントとはどういうものかを教えてくれた思い出深い書籍です。 特に当時の私は社内政治という言葉を毛嫌いしていました。本書の著者の言葉をかりていうならば、 政治力(名詞): 邪悪で、弱虫で、自己中心的な人々が利用しようとするもの (399ページ) と認識していました。この章で著者(Berkun)の上司がある行動をとったことにより、著者は「政治」に対する認識を大きく改めます(上司がどんな行動をとったかは是非、本書を読んでみてください)。私は、この部分を読んで「政治」に対する自身の認識の未熟さと傲慢さを痛感し、社内政治もしなければ、物事は成し遂げられないと強く思うようになりました。 著者は、本書で様々な視点から、どのように

「ハーバード流 ボス養成講座 優れたリーダーの3要素」(リンダ・A・ヒル、ケント・ラインバック著)

今回、紹介する本は「 ハーバード流 ボス養成講座 優れたリーダーの3要素 」です。 私は正直「ハーバード流○○」「マッキンゼー流××」「Google流△△」などのようにいわゆる、一流と呼ばれる組織の名前を追加して、「ハロー効果(ある対象を評価をする時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められる現象のこと[Wikipediaより引用])」により買わせようとするマーケティング手法に対しては苦々しく思っています。本書もマーケティング戦略のためか、邦訳版の題名と原著の題名には大分乖離があります。原著の題名はシンプルに「Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader」、直訳すると「ボス(上司)になる : 偉大なリーダーになるための3つの必須事項」になるかと思います。 題名で売りたいだけの本で中身は薄っぺらいのかなと思い、本書を購入する気は余りなかったのですが、他の方の書評を見て購入に踏み切りました。内容は非常に実践的で濃いものですので、お勧めです!逆に題名に「ハーバード流」とか安っぽくなるのでつけない方がよい気がします。 翻訳そのものに関しては、ビジネス書の翻訳でよく見かける村井章子さんの訳だけあって、非常に読みやすいです。本書で最も読みづらかったのは、各章の導入部分で物語風に書かれている部分の登場人物の名前です。私は英米人の名前には馴染みが薄く、誰が何の役職なのかすぐに理解できなくなってしまいました。例えばブレンダ・ボールドウィン、レイ・サンチェス、ジャック・キャビットなどが登場します。日本人向けであれば、鈴木、山田、田中とかに置き換えて読むと理解が早まるのではないかと思いました。 さて肝心の内容です。本書は会社の中核を担う中間層のリーダーたち向けの本になります。彼らに求められる3つの要素(3 imperatives)として本書は 自分をマネジメントする 人脈をマネジメントする チームをマネジメントする を挙げています。単に並べただけですと抽象的ですが、各要素ごとに分量を割いて深く掘り下げて書かれています。 「2. 人脈をマネジメントする」の部分では「上司」「組織」「影響力」、「3. チームをマネジメントする」の部分では「将来像」

[エッセンシャル版] マイケル・ポーターの競争戦略 (ジョアン・マグレッタ著)

マイケル・ポーターは「Competitive Advantage (競争優位)」「Five Forces」で有名な経営戦略研究の第一人者です。私も以前から興味があり名著「競争の戦略」を読んでみようと思っていたのですが、書店に行って、あまりの本の分量の多さ (+価格の高さ)に購入を諦めていました。 もっと手軽に読めそうな本はということで、以下のポーターの論文集のような「競争戦略論I」「競争戦略論II」本は購入したのですが、いまいち(私のレベルの)実務では実感に乏しく、あまり深く読んで理解することができませんでした。 そんな中でようやく見つけたのが本書「 [エッセンシャル版] マイケル・ポーターの競争戦略 」になります。結論から言いますと、本書が私にとっては最も理解しやすかったです。 本書は、ポーターの経営・競争戦略の理論の本質を、ポーターと長年仕事を共にしてきたジョアン・マグレッタが要約し解説する形で書かれています。 原著は「 Understanding Michael Porter: The Essential Guide to Competition and Strategy 」になります。 今回の邦訳の題名は意訳感はないので改めて訳すほどではないですが、私の拙い英語で直訳すると「マイケル・ポーターを理解する: 競争と戦略の必須ガイド」になるでしょうか。余談ですが「Essential Guide」は「エッセンシャルガイド」のカタカナで訳 してしまってもよいかも知れません、日本語でぴったり来る言葉が見つかりませんでした。そもそも「Guide」は「ガイド」と訳すしかないような気がします。 さて本の内容です。正直あまり期待していなかったのですが、ポーターの競争戦略の要点がしっかりまとめられており、「なるほど」「面白い」と感じながら読み進めることができました。また、ポーターの理論へのよくある批判に対する反論や解説も記されており、ポーターの理論を俯瞰的に理解することができました。 私が、本書でまず気づかされたのは「競争に勝つ」という言葉に対する意味のとり方です。我々は「競争に勝つ」というとどうしても「最高を目指す」「一番になる」「相手を打ち負かす」というような行動をとりがちですが、ポーターは「最高を目指すべきではない」と言

「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」(ジェフリー・フェファー、ロバート・サットン著)

今日紹介する書籍は、「 なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント 」です。   こちらの書籍は、2000年に出版された「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」の邦訳になります。   「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」の邦訳は既に、下記の2回刊行されています。 「 変われる会社、変われない会社―知識と行動が矛盾する経営 」2000年 「 実行力不全 」2005年 私は、「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」を購入した後、別の本だと勘違いして「実行力不全」を取り寄せてまで買ってしまいました。どこかで読んだことがある内容だなぁと思いながら読んでいて、同じ内容の本だと気がつきました。 「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」の最後のページにも、過去に刊行された本を改題、修正したものだと書いてありました。 目次の見出しなど、細かいところに翻訳の差異がありますが、内容はほぼ変わりませんので、上記紹介した3冊のいずれかを購入すれば問題ないかと思います。 邦訳版は3回刊行されいぇいますが、毎回書名がずいぶん違います。原著の題名「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」は、私の拙い英語力で直球に訳すと 「知っていることと実行することの壁: どうやってかしこい会社は知識を行動に変えるか」 みたいな感じでしょうか。  さて、内容ですが、このあたりはそれなりの規模の組織に所属したことのある人であれば、「あるある!」と思うことが多い内容なのではないかと思います。 意思決定ばかりで行動はおあずけ プレゼンテーションの準備に時間もエネルギーも奪われる 実行すべきことの文書づくりに熱中する 計画しただけで行動した気になる 社訓を掲げて行動のかわりにする うーん。耳の痛い言葉が並んでいます。 特に印象に残ったところは、企業はどうしても、半

「悪いやつほど出世する」Jeffrey Pfeffer (ジェフリー・フェファー著)

皆さんはジェフリー・フェファーをご存知でしょうか。 ジェフリー・フェファーは、アメリカの組織行動学者でスタンフォード経営大学院の教授をされている方です。 「パワー」「影響力」「組織行動」などのキーワードが個人的にしっくりくる方かなと思っています。理想よりも現実に即した著作を多く発表しており、彼の著作は会社で行きぬく上で非常に参考にさせてもらっています。 そんな彼の著作の中で最近邦訳された「 悪いやつほど出世する 」を紹介したいと思います。 原著は「Leadership BS: Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」(Jeffrey Pfeffer)なので、直訳すると「リーダーシップのウソ: 一度に職場とキャリアを改善する1つの真実」になるかと思います。  BSの意味がいまいちわからなかったのですが、私はスラングの「Bull Shit = 牛の糞 」と取って、「デタラメ」「ウソ」という訳にしました。あと副題の「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」の部分は本著作中で、これまでさまざまなリーダーシップ論が提唱されてきたが、いつも正しいわけではない(=半分正しい)というような主張をしていたので、「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time (一度に職場とキャリアを改善する1つの真実)」みたいなそんなものはないよ、といっているのではないかと個人的には理解しています。 さて、内容ですが、端的にいうと、「リーダーシップの書籍や講座で述べている理想論は捨てなさい、とまでは行かないまでも、全部鵜呑みにするな」ということだと思います。 章ごとのタイトルを、私が気になったもののみ抜粋して並べただけですが、本書の主張は、たとえば以下のような感じです。 大繁盛のリーダー教育産業 にもかかわらず、職場は不満だらけ 悪いリーダーははびこり、名リーダーはほとんどいない 熱心にリーダー研修を受けた人ほどキケン リーダーは「社員第一」ではなく「わが身第一」 リーダーに信頼はいらない、そして私たちはだまされやすい 信頼を