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「権力」を握る人の法則 (ジェフリー・フェファー 著)

今日、紹介する書籍はジェフリー・フェファーの『 「権力」を握る人の法則 』です。 原題は「 Power: Why Some People Have It—and Others Don't  」です。 直訳すると「権力: なぜ持てる人と持てない人がいるのか」でしょうか。 邦訳版の題名が日本語としても本質を掴んでいて、直訳よりもいい題名だと思います。 結論からいいますと、この本はお勧めです! もともと2011年にハードカバーで出版されたものが、2014年に文庫化されました。 文庫版は、お求め安く1000円もしないので手軽に購入できると思います。 他のフェファーの書籍は文庫化されていませんので、フェファーの書籍を読みたい方はこの『 「権力」を握る人の法則 』から読み始められるのがいいと思います。 私もこの書籍を読んで始めてフェファーの他の著作を読むようになりました。 確かに私が今まで所属した組織で上層部にいる人を眺めると、この書籍に書かれているとおりのことを実行している人ばかりなので、本書の内容を実践すれば、間違いなく組織内での闘争には負けないと思います。たとえば、 出る杭になれ 愛されるより恐れられよ 実績と昇進は関係ない! 上司を気分よくさせる 権力者らしい話かた(を心がけよ) 悪評にも利点がある などなどです。詳しい話は本書を読んでもらうのが一番です。 とはいえ、何が一番難しいかというと、やはり本書に書かれていることを実践することなのですが。 なぜここまでして権力を握るべきなのかという理由について、フェファーは、疫学研究者のマイケル・マーモットの研究結果を持ち出して、次のように述べています。 ヒエラルキーの底辺にいる人は、頂点にいる人と比べ、死亡率が四倍も高いことが判明している。 ... 自分の状況を自分でどうにかできる方が心身の健康によいのであり、「社会的環境から成人の死亡率を予測することは可能だ」とマーモットは結論づけている。 (335ページ) 私も、本書を読むまでは「上に行こうとしてあくせくするのはみっともない」とずっと思っていましたが、本書を読んでからは、その考えがいかに「現実から目を背けた、組織内での自らの可能性をつぶす考え」だったと痛感させられました。 実践するかどうかは

影響力のマネジメント リーダーのための「実行の科学」 (ジェフリー・フェファー著)

今日紹介する本は、ジェフリー・フェファーの「 影響力のマネジメント (リーダーのための「実行の科学」) 」です。この本は、私にとってジェフリー・フェファーの著作の中で、最も実際の仕事の中で役に立った本です。 原著の題名は「 Managing With Power: Politics and Influence in Organizations 」になります。直訳すると「パワーを用いたマネジメント: 組織における政治と影響力」とでもなるでしょうか。 本書は題名どおり、組織内での「パワー」「影響力」ということに徹底的に注力して書かれています。 例えば、「パワー」を使っていかに敵対勢力を一掃するか、どうやって自分を強い立場に置いて「パワー」を維持するか、そして、どういう行動により「パワー」を失うのかなどについて、実際に歴史上起きた例を交えながら、事細かに述べられています。アメリカ大統領のリンドン・ジョンソン、ニューヨークの公共事業担当者ロバート・モーゼス、Appleのスティーブ・ジョブズ、日産の川又(私は本書を読むまで知りませんでした)まで、幅広い事例が上げられていますが、この事例の幅広さからも本書がいかに本気で書かれているか伝わると思います。 本書の中のほんの一部ですが、「パワーの源泉としての個人特性」の部分で述べられているコンフリクトの部分が、本書の雰囲気をよく表していると思いますので、引用します。 「うまくやっていくためには、仲良くやっていかなければ」という格言は、子どものころからしばしば聞かされるものだ。 ... コンフリクトから逃げてばかりだと、自分の思いを通せることはまずないだろう。 ... 一緒に仕事をしている仲間内ではたしかに好かれる要素だろうが、パーソナリティが穏やかだからと好かれている者が必ずしも最も有力だとか、物事を遂行できるなどということは実際にはないと考えてよい。 (186ページ) フェファーはこの後の文章で、多くの人々はコンフリクトを嫌うので、好戦的で厄介な存在になることもパワーを獲得する上で重要な要素だとも述べています。 上記のような内容を読んで、げんなりして読むのをためらう方もいるかも知れません。正直、私も本書を読んで「こんなことばかりだから、組織には居たくない。」と思ってしまいました。しかし、フ

「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」(ジェフリー・フェファー、ロバート・サットン著)

今日紹介する書籍は、「 なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント 」です。   こちらの書籍は、2000年に出版された「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」の邦訳になります。   「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」の邦訳は既に、下記の2回刊行されています。 「 変われる会社、変われない会社―知識と行動が矛盾する経営 」2000年 「 実行力不全 」2005年 私は、「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」を購入した後、別の本だと勘違いして「実行力不全」を取り寄せてまで買ってしまいました。どこかで読んだことがある内容だなぁと思いながら読んでいて、同じ内容の本だと気がつきました。 「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」の最後のページにも、過去に刊行された本を改題、修正したものだと書いてありました。 目次の見出しなど、細かいところに翻訳の差異がありますが、内容はほぼ変わりませんので、上記紹介した3冊のいずれかを購入すれば問題ないかと思います。 邦訳版は3回刊行されいぇいますが、毎回書名がずいぶん違います。原著の題名「The Knowing-Doing Gap: How Smart Companies Turn Knowledge into Action」は、私の拙い英語力で直球に訳すと 「知っていることと実行することの壁: どうやってかしこい会社は知識を行動に変えるか」 みたいな感じでしょうか。  さて、内容ですが、このあたりはそれなりの規模の組織に所属したことのある人であれば、「あるある!」と思うことが多い内容なのではないかと思います。 意思決定ばかりで行動はおあずけ プレゼンテーションの準備に時間もエネルギーも奪われる 実行すべきことの文書づくりに熱中する 計画しただけで行動した気になる 社訓を掲げて行動のかわりにする うーん。耳の痛い言葉が並んでいます。 特に印象に残ったところは、企業はどうしても、半

「悪いやつほど出世する」Jeffrey Pfeffer (ジェフリー・フェファー著)

皆さんはジェフリー・フェファーをご存知でしょうか。 ジェフリー・フェファーは、アメリカの組織行動学者でスタンフォード経営大学院の教授をされている方です。 「パワー」「影響力」「組織行動」などのキーワードが個人的にしっくりくる方かなと思っています。理想よりも現実に即した著作を多く発表しており、彼の著作は会社で行きぬく上で非常に参考にさせてもらっています。 そんな彼の著作の中で最近邦訳された「 悪いやつほど出世する 」を紹介したいと思います。 原著は「Leadership BS: Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」(Jeffrey Pfeffer)なので、直訳すると「リーダーシップのウソ: 一度に職場とキャリアを改善する1つの真実」になるかと思います。  BSの意味がいまいちわからなかったのですが、私はスラングの「Bull Shit = 牛の糞 」と取って、「デタラメ」「ウソ」という訳にしました。あと副題の「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」の部分は本著作中で、これまでさまざまなリーダーシップ論が提唱されてきたが、いつも正しいわけではない(=半分正しい)というような主張をしていたので、「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time (一度に職場とキャリアを改善する1つの真実)」みたいなそんなものはないよ、といっているのではないかと個人的には理解しています。 さて、内容ですが、端的にいうと、「リーダーシップの書籍や講座で述べている理想論は捨てなさい、とまでは行かないまでも、全部鵜呑みにするな」ということだと思います。 章ごとのタイトルを、私が気になったもののみ抜粋して並べただけですが、本書の主張は、たとえば以下のような感じです。 大繁盛のリーダー教育産業 にもかかわらず、職場は不満だらけ 悪いリーダーははびこり、名リーダーはほとんどいない 熱心にリーダー研修を受けた人ほどキケン リーダーは「社員第一」ではなく「わが身第一」 リーダーに信頼はいらない、そして私たちはだまされやすい 信頼を