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「プログラミングの心理学 25周年記念版」(ジェラルド・M・ワインバーグ 著)

ジェラルド・M・ワインバーグは、自身のコンピューター業界を中心としたコンサルタント業の経験をもとに、人間やシステムの性質を本質的に捉えた数多くの書籍を発表しています。 今回紹介するのは、その中の「 プログラミングの心理学 25周年記念版 」になります。 25周年は、英語ではSilver anniversaryと表現されるようで、原題は「 The Psychology of Computer Programming: Silver Anniversary Edition 」となっています。 本書題名中の25周年というのは、原著の「The Psychology of Computer Programming」の初版が発行された1971年から25年後、つまり1998年に発行された英語版のことをさして、25周年といっています。この英語版の「 The Psychology of Computer Programming: Silver Anniversary Edition 」は、一度2005年に邦訳されて2005年に「 プログラミングの心理学―または、ハイテクノロジーの人間学 25周年記念版 」として刊行されています。今回紹介するのは、2005年に刊行された邦訳版の装丁を変えて2011年に再発刊されたものになります。ですので、おおもとの原著からは、40年経っていることになります。 本書では、1971年当時の初版の構成をそのままに、そのあとに25年後のワインバーグの振り返りが追記されるという形式をとっています。 この書評を書いている時点で、40年以上も前 (25周年を記念して加筆された部分は20年前)の内容で役に立つのと思う方も多いと思いますが、それがどうして、世の中あまり変わっていないのか、今でも十分に通用する示唆に富んだエピソードが多く紹介されています。 とはいえ12章「プログラミング言語の設計原則」で出てくる言語の話題はCOBOLとかFORTRANなので、「その言語なに?おいしいの?」「古臭い話だ!」と思う人が多いと思います。それでもよく掘り下げて読んでみると、普遍的な話題を扱っていることに気づかされると思います。これは、本書が「心理学」という言葉を使っているとおり、いつまでたっても変わらない、人間の根本的な性質を軸に書かれているからだと思い

「ソフトウェアの世界でキャリアを築く Making it Big in Software」(サム・ライトストーン著)

今日紹介する本は「 ソフトウェアの世界でキャリアを築く Making it Big in Software  」です。ソフトウェア業界に特に重点をおいて、いかにして自分の望むキャリアを築いていくかについて述べられています。   原著は「 Making it Big in Software: Get the Job. Work the Org. Become Great. 」です。   原著の題名を直訳すると「ソフトウェア業界で成功する: 仕事を得る。組織で働く。偉大になる。」でしょうか。 本書では、ソフトウェア業界の錚々たる著名人のインタビューが採録されています。 所属は、本書の執筆時点のものなので変わっている方もいるかも知れませんが、彼らの功績を示すには十分でしょう。 Jon Bentley (『珠玉のプログラミング著者』) Marissa Mayer (Google副社長、Google初期メンバーの20人目、元Yahoo CEO) Bjarne Stroustrup (C++の考案者 ) Richard Stallman (フリーソフトウェア運動の創始者) Ray Tomlinson (電子メールシステムの発明者) Peter Norvig (2002~2005年の間のGoogleの検索サービスの総責任者) John Schwarz (IBM, Symantec社の要職を歴任、 Business Objects社 CEO) Linus Torvalds (Linuxの生みの親) Mark Russinovich (Windowsのグル、Microsoftテクニカルフェロー) David Vaskevitch (Microsoft社 CTO) Grady Booch (UMLを生み出した一人) Tom Malloy (Adobe社チーフソフトウェアアーキテクト) James Gosling (Javaの考案者) Robert Kahn (インターネットの共同発明者) Steeve Wozniak (Appleコンピューターの発明者・Apple社の共同創設者) Marc Benioff (Salesfoce.com社CEO) Diane Greene (VMWare社の共同創業者、元CEO) これだけの方

「ハーバード流 ボス養成講座 優れたリーダーの3要素」(リンダ・A・ヒル、ケント・ラインバック著)

今回、紹介する本は「 ハーバード流 ボス養成講座 優れたリーダーの3要素 」です。 私は正直「ハーバード流○○」「マッキンゼー流××」「Google流△△」などのようにいわゆる、一流と呼ばれる組織の名前を追加して、「ハロー効果(ある対象を評価をする時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められる現象のこと[Wikipediaより引用])」により買わせようとするマーケティング手法に対しては苦々しく思っています。本書もマーケティング戦略のためか、邦訳版の題名と原著の題名には大分乖離があります。原著の題名はシンプルに「Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader」、直訳すると「ボス(上司)になる : 偉大なリーダーになるための3つの必須事項」になるかと思います。 題名で売りたいだけの本で中身は薄っぺらいのかなと思い、本書を購入する気は余りなかったのですが、他の方の書評を見て購入に踏み切りました。内容は非常に実践的で濃いものですので、お勧めです!逆に題名に「ハーバード流」とか安っぽくなるのでつけない方がよい気がします。 翻訳そのものに関しては、ビジネス書の翻訳でよく見かける村井章子さんの訳だけあって、非常に読みやすいです。本書で最も読みづらかったのは、各章の導入部分で物語風に書かれている部分の登場人物の名前です。私は英米人の名前には馴染みが薄く、誰が何の役職なのかすぐに理解できなくなってしまいました。例えばブレンダ・ボールドウィン、レイ・サンチェス、ジャック・キャビットなどが登場します。日本人向けであれば、鈴木、山田、田中とかに置き換えて読むと理解が早まるのではないかと思いました。 さて肝心の内容です。本書は会社の中核を担う中間層のリーダーたち向けの本になります。彼らに求められる3つの要素(3 imperatives)として本書は 自分をマネジメントする 人脈をマネジメントする チームをマネジメントする を挙げています。単に並べただけですと抽象的ですが、各要素ごとに分量を割いて深く掘り下げて書かれています。 「2. 人脈をマネジメントする」の部分では「上司」「組織」「影響力」、「3. チームをマネジメントする」の部分では「将来像」