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「チームが機能するとはどういうことか―「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」(エイミー・C・エドモンドソン著)

今日紹介する書籍は、「 チームが機能するとはどういうことか―「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ 」です。 本書はタイトルどおり、チーミングでも特に「学習」という部分に特に重点を置いて書かれています。 原著は「 Teaming: How Organizations Learn, Innovate, and Compete in the Knowledge Economy 」になります。直訳すると「チーミング: 知識経済の中で、いかにして組織は学習し、イノベーティブになり、競争するか」にでもなるでしょうか。 この書籍については直訳より、邦訳版の題名の方が断然よいと思います。私が本書の内容を読んだ限りでも、邦訳版の題名は、本書の内容をよく表していると思います。 予断ですが、Innovationの訳は日本語では、カタカナ英語のイノベーションが一般的になっているとは思いますが、何かもっとピッタリ来る日本語はないのでしょうか。 本書はリーダーがトップダウンの決定を下すのではなく、チームメンバーそれぞれが自身の専門性や得意分野を生かし、意見の対立を乗り越えて、チーム全体で学習しながらチーム全体のパフォーマンスを上げるためには、どうすればよいかについて実例を交えながら詳細に述べられています。 こういったチーミングやマネジメントの話は、掘り下げていくと、人間の内面に深く根ざした部分にたどり着き心理学の研究結果が大いに役に立つものですが、本書もその例に漏れず、心理学分野の研究結果も交えなながら、効果的なチーミング手法について解説がなされています。例えば、人間は今まで自分が経験してきたものによって、現在の状況の認識が左右されているという観点(=フレーミング)から、革新的なプロジェクトを成功させるためには、どのような「フレーミング」が適切かを解き明かし、またリーダーはどのようにしてチームに適切なフレームを導入することができるかについて解説しています。 多くの書籍で「失敗」から学ぶことの重要性について語られていますが、本書では「失敗」を罰せられない環境づくりがなければ、「失敗」から学ぶことは難しいと指摘しています。本書では、失敗を「防ぐことのできる失敗」「複雑な失敗」「知的な失敗」に分類し、「防ぐことのできる失敗」は根本原因の究明を行い、「複雑な

影響力のマネジメント リーダーのための「実行の科学」 (ジェフリー・フェファー著)

今日紹介する本は、ジェフリー・フェファーの「 影響力のマネジメント (リーダーのための「実行の科学」) 」です。この本は、私にとってジェフリー・フェファーの著作の中で、最も実際の仕事の中で役に立った本です。 原著の題名は「 Managing With Power: Politics and Influence in Organizations 」になります。直訳すると「パワーを用いたマネジメント: 組織における政治と影響力」とでもなるでしょうか。 本書は題名どおり、組織内での「パワー」「影響力」ということに徹底的に注力して書かれています。 例えば、「パワー」を使っていかに敵対勢力を一掃するか、どうやって自分を強い立場に置いて「パワー」を維持するか、そして、どういう行動により「パワー」を失うのかなどについて、実際に歴史上起きた例を交えながら、事細かに述べられています。アメリカ大統領のリンドン・ジョンソン、ニューヨークの公共事業担当者ロバート・モーゼス、Appleのスティーブ・ジョブズ、日産の川又(私は本書を読むまで知りませんでした)まで、幅広い事例が上げられていますが、この事例の幅広さからも本書がいかに本気で書かれているか伝わると思います。 本書の中のほんの一部ですが、「パワーの源泉としての個人特性」の部分で述べられているコンフリクトの部分が、本書の雰囲気をよく表していると思いますので、引用します。 「うまくやっていくためには、仲良くやっていかなければ」という格言は、子どものころからしばしば聞かされるものだ。 ... コンフリクトから逃げてばかりだと、自分の思いを通せることはまずないだろう。 ... 一緒に仕事をしている仲間内ではたしかに好かれる要素だろうが、パーソナリティが穏やかだからと好かれている者が必ずしも最も有力だとか、物事を遂行できるなどということは実際にはないと考えてよい。 (186ページ) フェファーはこの後の文章で、多くの人々はコンフリクトを嫌うので、好戦的で厄介な存在になることもパワーを獲得する上で重要な要素だとも述べています。 上記のような内容を読んで、げんなりして読むのをためらう方もいるかも知れません。正直、私も本書を読んで「こんなことばかりだから、組織には居たくない。」と思ってしまいました。しかし、フ

「悪いやつほど出世する」Jeffrey Pfeffer (ジェフリー・フェファー著)

皆さんはジェフリー・フェファーをご存知でしょうか。 ジェフリー・フェファーは、アメリカの組織行動学者でスタンフォード経営大学院の教授をされている方です。 「パワー」「影響力」「組織行動」などのキーワードが個人的にしっくりくる方かなと思っています。理想よりも現実に即した著作を多く発表しており、彼の著作は会社で行きぬく上で非常に参考にさせてもらっています。 そんな彼の著作の中で最近邦訳された「 悪いやつほど出世する 」を紹介したいと思います。 原著は「Leadership BS: Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」(Jeffrey Pfeffer)なので、直訳すると「リーダーシップのウソ: 一度に職場とキャリアを改善する1つの真実」になるかと思います。  BSの意味がいまいちわからなかったのですが、私はスラングの「Bull Shit = 牛の糞 」と取って、「デタラメ」「ウソ」という訳にしました。あと副題の「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」の部分は本著作中で、これまでさまざまなリーダーシップ論が提唱されてきたが、いつも正しいわけではない(=半分正しい)というような主張をしていたので、「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time (一度に職場とキャリアを改善する1つの真実)」みたいなそんなものはないよ、といっているのではないかと個人的には理解しています。 さて、内容ですが、端的にいうと、「リーダーシップの書籍や講座で述べている理想論は捨てなさい、とまでは行かないまでも、全部鵜呑みにするな」ということだと思います。 章ごとのタイトルを、私が気になったもののみ抜粋して並べただけですが、本書の主張は、たとえば以下のような感じです。 大繁盛のリーダー教育産業 にもかかわらず、職場は不満だらけ 悪いリーダーははびこり、名リーダーはほとんどいない 熱心にリーダー研修を受けた人ほどキケン リーダーは「社員第一」ではなく「わが身第一」 リーダーに信頼はいらない、そして私たちはだまされやすい 信頼を